美玖里　みくり

特徴

農林水産省果樹試験場で，1995年に行なった「石鎚」に「秋峰」を交雑して得た実生群から選抜された。 2009年に「美玖里」として種苗法に基づく品種登録出願を行ない，同年に公表され，2011年に登録された。

樹姿は直立性で，樹勢は強い。若木の樹冠の拡大は早いほうである。発芽期は 「筑波」と同時期で中，開花期は「筑波」よりおそく「石鎚」と同時期である。収量は若木時代から樹間拡大 したあとも「筑波」と同程度である。収穫期はややおそく，「筑波」と「石鎚」の間である。 果実は円形で，大きさは26g程度で，「石鎚」より大きく，「筑波」と同程度である。果皮は褐色で， 肉質は粉質であり，果肉の色は黄色で，甘味，香気はいずれも多く，「筑波」と同程度以上で「石鎚」よりも食味がすぐれる。

樹勢が強く高木となりやすいため，作業性を良好にするために整枝・剪定の励行によって，樹 高を制限する必要がある。長大な1年枝の発生が多いが，大部分は結果母枝となり得るため，「筑波」や「石鎚」と同程度の収量が期待できる。主要品種と比較して食味や果肉の黄色みが強く加工適性がすぐれるとの評価があるため，付加価値の高い加工品原料としても利用も可能。肉質が粘質で”ホクホク”しており、甘み・香りも多く食味は最高。
（情報名） 美味しくて、「ぽろたん」の受粉樹に適したクリの晩生新品種「美玖里」
【要約】 「美玖里」は９月下旬から１０月上旬に収穫できる晩生新品種で、果実大きく食味がたいへん良く、加工にも最適である。 渋皮が剥きやすい「ぽろたん」とは、収穫期が重ならないため、受粉樹（混植樹）として適する。
【留意点】 「ぽろたん」の混植樹とする場合、「ぽろたん」の雌花開花期に対して、「美玖里」の雄花開花期がやや遅いため、安定した 収量を確保するためには混植率５０%を基本とする。

　新品種栗の特性がはっきりしてきた。「ぽろたん」は加工向き。ゆで栗の味は「美玖里」が上。

苗木を作っていて感じるが、樹勢が強く、育てやすい品種だ。放任すると成木は「ぽろたん」の2倍位の大きさになる。食味、日持ち性も抜群、4月まで冷蔵保存しても何の問題も無い。日本で一番多く植えられている「筑波」などより果肉食、ホクホク感、甘味、香が優れた良食味。加工にも適し、栗きんとんや甘露煮などにしても評価高い。

但し、一般に栗は品種名で店頭に並ばないので、その知名度は上がらないが、品種名が分かって食すと誰でも高評価を与える。まだまだ植えてもらいたい品質の高い栗品種。

「筑波」に変わる品種として注目を浴びる新品種。本品種の果実の比重は1.06と高く、蒸し栗にしたときの肉質は粘質、甘みが多く、香りがあり、食味は極めて良好。「ぽろたん」の授粉樹として使用。