早秋　そうしゅう　

特徴

1988年に伊豆に109-27を交雑して得た交雑実生から選抜された農研機構の育成品種。109-27は興津2号×興津17号の交雑実生から選抜された完全甘ガキ。2000年に「早秋」と命名されて，苗木生産が開始され，2003年に品種登録された。

樹勢は強くなく、樹姿は開張である。雄花は着生しない。雌花の着生は非常に多い。花の着生が多すぎるため，結果母枝の適度な切返しが有効である。雌花の開花期は「伊豆」とほぼ同時期で「富有」より早い。

単為結果力，種子形成力がともに高くなく，早期落果が多い。このため，授粉樹を多く栽植するのがよい。「禅寺丸」は，開花期が適合し，花粉量・花粉の活力が優れている。ミツバチを放飼して訪花昆虫の数を増やすのも有効である。

果形が乱れやすい性質があるが，摘蕾時には作業能率上見分けにくく，摘果時に不良な果形の果実を摘果する必要がある。生理落果と果形不良果の問題のため，摘蕾時に「富有」などより花を多く残さなければならない。

生理落果（早期落果）終了時の7月中下旬の摘果を葉果比20で行なうとすると，摘蕾時にはその2倍の花を残し，葉蕾比10程度とする。摘蕾により単為結果力は向上する。また，「伊豆」と同様に，新梢が二次伸長しやすい。二次伸長は養分競合によって生理落果を助長すると考えられるので，二次伸長しかけた芽をかくとよい。以上の管理を行なうと，安芸津では生理落果による減収はほとんど生じなかった。

通常の気象条件の年では，8月以降の後期落果，樹上軟化はほとんど生じない。しかし，年と場所により一部の果実が収穫直前に異常に成熟し，それらは糖度が低く，日持ちの極端に短い果実となる場合がある。これは樹上軟化の一種と考えられ，正常な成熟ではない。この異常成熟果は出荷せず，正常な成熟期まで収穫・出荷をおくらせる必要がある。とくに高温の地方では注意が必要である。

極早生の完全甘ガキで「西村早生」とほぼ同時期に成熟する。果形は扁平で，果形が乱れやすい。果皮色は赤く，西村早生と同時期の収穫でカラーチャート値平均6程度となる。果実重は240g程度である。

果肉の褐斑は少なく，肉質はやや軟らかくて緻密であり，果汁が多く食味は良好である。糖度は14～15度で，中程度である。早生品種としては日持ち性に優れ，育成地（安芸津）では13日程度日持ちする。へたすき果の発生はほとんどない。汚損果はやや発生するが，微小な条紋による場合が多い。微小な果頂裂果をやや生じやすい。

果皮は紅を呈し色目は非常に美麗。直売所でも目を引く。

極早生品種でありながら、糖度、果重も充分。西村早生と違い完全甘柿なので、渋が残ること無く、選別簡単。

その特徴は「西村早生」に次ぐ収穫時期の早さと、果皮の紅色であった。極早生の代表「西村」は不完全甘柿であることより、受粉がうまくいかないと渋果となる。「伊豆早生」は、へたすきがでることが欠点であった。

当時ここ福岡県では、「西村」、「伊豆」に変わる品種として着目され、産地化された。続いて産地化されたのが、岐阜県。この2県で全国生産量の半分以上を占める。

完全甘柿の中で最も成熟期が早い、この時期に収穫できる品種としては果重、食味が極めて優れており、果皮が、美しい。直売向けなら、遅めの収穫で、糖度がぐっとのる。