ザ・キング

特徴

この酸味を持ってかつ超甘い「ザ・キング」が大好きである。30年程前の話になるが、和歌山県試験場で当時、導入、試験栽培されていた「森のアイスクリーム」こと「チェリモヤ」を試食させてもらった時の感動を思い出させてくれる食味である。但し、夏果専用種で収量が少ないこともあり、あまり普及してこなかった。当地久留米市田主丸町でも一人この品種の生産をされていた方も、10年程前に他品種に更新された。久しぶりに食味したいと探したが、佐賀県、島根県、千葉県、宮城県などに極少人数での生産があるだけだ。それも、完売状態で購入不可かと思ったが、島根県浜田市の『ふるさと納税返礼品』に「ザ・キング」見つけた。完売商品の単価をみても、その高級商品であることは明らか。収量が少なく、生産者が少ないからしかたない。

この低収量を覆す栽培試験をされた発表があった。この試験目的は、8～10月に集中する収穫作業の分散、規模拡大が目的のようであるが、今回購入の単価でこれだけの収量が上がれば相当に儲かる品種だと考える。
兵庫県で、夏果に関する試験をされている。共試品種は７品種。夏果専用種なので一文字整枝はできないと今まで説明してきた。これが間違い。一文字整枝をしないと収量があがらないそうだ。この品種以外の夏果は、着果が少ないうえに生理落下が多いため収量が少なく経済栽培は不可。それに対し「ザ・キング」だけは、開心自然形でもそれなりの収量が上がる。更なる収量アップは、一文字整枝法の導入。方法は、慣行の一文字整枝を基本とし、主枝上に結果枝と予備枝を交互に配置する方法である。これで、10a当たり約1.4t程度の収量が得られるそうだ。 コツは整枝法、「桝井ドーフィン」の一文字整枝よりも新梢を片側だけで20～30cm間隔と密に配置する。新梢は冬の剪定時に、１本おきに短く切り戻し予備枝とする。この予備枝が再来年度の結果枝となる。そして、切り戻ししなかった枝が来年度の結果枝である。整枝法に関する調査結果より、一文字整枝法を使うことにより儲かる「ザ・キング」が誕生する。

夏果専用果。鮮やかなグリーン果皮。糖度も高い上、甘いだけではなく酸味もある、アイスクリームのような品種。収量の問題は一文字で解決。個人的には大推奨品種。