麗紅　れいこう

特徴

「麗紅」は長崎県口之津支場で，育成母本の清見×アンコールNo.5にマーコットを交配して育成された品種。育成地のほか、カンキツ生産県の試験場で試作、調査された結果、その優秀性が認められ、2004年にタンゴール農林9号「麗紅」と命名され、2005年に品種登録された。

「不知火」と「はるみ」の特徴が違うように、「せとか」と同じ交配組合わせであるがまた違った特徴ある果実形質を有しており、佐賀県を中心として産地が形成されている。2016年産特産果樹生産動態等調査によれば、全国の栽培面積は42.2ha、出荷量は816.1t。

樹勢は中程度で、樹姿は直立性と開張性の中間。一般にハウス栽培では枝が徒長しやすく、直立し樹高が高くなりやすいが、露地栽培ではやや開張性を示す。枝の発生は中程度で、枝が密生する「せとか」と比べると少ない。また、幼木時は枝が徒長的に強く伸びるが、着果を始めると短い枝が多く発生するようになる。

葉の大きさは中だが、着果過多となり短い枝が多くなると小さな葉が増加する。とげの発生は「せとか」ほど密ではないが、夏秋梢を中心に長さ4～5cmのとげが発生する場合がある。樹勢が落ち着いて中庸から短い枝が多くなってくるととげの発生は少なくなり、栽培上、支障にならない。また，成木になっても着果が少なく、着果負担が少ないと夏秋梢の発生が多くなり、樹形が乱れる。

外観はマーコットに類似しており、きわめて美麗である。果実重は平均すると180～200gだが着果の多少によりかなりばらつく。果形指数は130～140で、「せとか」と比較すると扁平な果実。

果皮は赤橙色で、「せとか」より橙色が濃い。果皮の厚さは2mm程度で薄く滑らかで、皮は剝きやすい。大玉になると果皮の粗さが目立ってくる。浮き皮果の発生はほとんど見られず、剥皮性もよい。剥皮時にアンコール臭が感じられる。果肉は軟らかくジューシーだが、じょうのう膜が非常に薄く、口に溶ける感じがする。

「麗紅」自身は雄性不稔性で花粉もほとんど生じないため、施設などで単植栽培すると無核になるが、露地栽培で周辺に花粉を有するカンキツ類があり、その花粉がかかると種子ができる。

糖度は前述した果実重180～200gで12～13％となるが、大果ほど糖度が低下する傾向にある。また，成熟期が早いハウス栽培では露地栽培よりも糖度がやや低い傾向にある。「せとか」より減酸は早く、酸含量は成熟期で0.9～1.2g/100mlとなる。

よって、果実を大きくして、味の良さをとるか、小さく作り、果皮の美しさをとるか。ご検討あれ。

スーパーで売られていて、結構旨いみかんを発見。「はまさき」みかんと表記されている。これは何だ。早速調べてみたら、佐賀県ＪＡからつのオリジナルブランドとして販売されている品種名「麗紅」のようだ。また、佐用姫（商標登録）という名前でも売られているようだ。改めて、「麗紅」の素晴らしさを再確認した。

せとかの兄弟品種。佐賀県産の中で、糖度･酸度が基準を満たし外観の優れたものは、「はまさき」というブランド名で流通する。

　糖度は非常に高く果皮は美麗で、薄く手で剥きやすいうえに、浮皮になりにくい。欠点は、近くに甘夏などの強い花粉を持つ樹が植えつけてあると、種が入りやすい。