渋葉隠　しぶはがくし

特徴

異名　高瀬

来歴　佐賀・熊本・長崎・福岡県など九州中北部地方に多く散在している。類似品種に青高瀬（熊本県球磨地方），馬うっちゃぎなどがあるが，別品種である。

樹性，着花・結実性　樹姿は開張性で樹勢は強く，大木となる。節間が長くて新梢が長い。下垂しやすいので，側枝の更新につとめる必要があるが，陰芽からの新梢の発生は多いほうではない。粗皮が粗いのが特徴的である。萌芽・展葉期はおそく，富有とほぼ同時期である。

　雌花は多い。隔年結果性は小さい。雄花は着生しない。開花期はカキ品種のなかでは中程度の早さである。種子形成力は中程度であり，2～3個の種子を形成するものが多いが，早期落果は少ない。後期落果する場合がある。

果実特性　晩生の完全渋ガキであり，肥培管理を行なって早期落葉させなければ12月上旬が収穫期である（安芸津）。果実の大きさは，富有と同様の管理を行なえば平均230g程度である。果実は側溝がなく，干柿生産上も剥皮しやすい。果梗がやや細く，曲がっている。条紋は発生しない。へたすき性はない。種子が入るとわずかに果頂裂果する果実が生じるが，問題にならない程度である。

　色は一般にあまり赤くない場合が多く，橙黄色である。しかし，成熟時の温度条件が適当であるとかなり赤くなる。果皮に着色のムラが生じやすい。

　肉質は緻密であり，糖度は17度程度である。果汁の多さは中程度である。さわし柿としての脱渋性は容易なほうではない。干柿としての品質は，やや粉質性がある。

生産状況　熊本・長崎・佐賀県などで183ha（2004年）の栽培がある。もっぱら干柿として生産されている。散在樹が多い。

昔から九州地区で良く売れる「渋葉隠」と「紅稲佐」苗木。この品種の一番の特徴は、超豊作であること。「葉隠」の意味は、葉が果実で見えなくなる程結果するのが由来のようだ。あんぽ柿にすると非常に糖度高い。甘いあんぽ柿がお好きな方にはこの品種。欠点としては、果実が小さいことと、種が入るので多少食べにくい点だ。現在流行の低糖度の健康的なあんぽ柿を作りたい方は、「夢西条」がお奨め。

　葉が隠れるほど果実が実る意から「葉隠」と呼ばれる。ほとんど隔年結果せず、花着きが多く、落果が少なく、収量は多い。熟期が遅いので暖地向きの品種である。