麗玉　れいぎょく

特徴

農業・食品産業技術総合研究機構果樹茶業研究部門で育成された完全甘ガキ品種である。早生で高糖度の甘秋に，中生で良食味のカキ安芸津19号を交雑した実生のなかから太雅とともに選抜された。

熊本県ではカキの主力品種として「太秋」を産地化し、ブランド化を図っている。しかし、「太秋」では軟化果実や汚損果が発生し、生産が不安定な面がある。そこで、「太秋」と組み合わせることで生産者の経営安定が図られ、良食味で障害の発生が少ない優良品種「麗玉(れいぎょく)」が選定され、その特性について紹介している。

　樹勢は中程度で，樹姿は直立と開張の中間である。展葉期は松本早生富有とほぼ同時期で，富有より早い。雌花開花期は松本早生富有や富有と同時期である。雌花の着生はやや多程度であり，果実生産上の問題はないが，富有や平核無ほど着生せず，摘蕾が省力的であることが期待される。雄花はごくわずかに着生するが，太秋のように収量を減少させる程度には着生しない。授粉樹がある条件下での麗玉の早期落果は，富有同様に少ない。種子の入らない条件下での結実力（単為結果力）は高いため，授粉樹を混植しないと結実が不安定になる富有とは異なり，授粉樹を混植しない条件下でも安定して生産できる。ただし，種子形成力は高いため，種なし果の生産には周囲に授粉樹がない環境が必要である。摘果後の生理落果である後期落果は少ない。夏秋期の気温が高い地域に適応し，富有の栽培地域で栽培が可能である。

渋ガキ品種を中心とした一部品種に接ぎ木すると不親和症状や生育不良が生じ，果実の小玉化や樹勢の低下が認められる。高接ぎする場合は，このような症状が認められない富有，松本早生富有，太秋への高接ぎが望ましい。また，それ以外の品種に高接ぎを行なう場合には，少量の高接ぎを行なって経過を観察することが望ましい。また，樹勢が弱い樹においては早期落果が生じやすくなり，果実重も低下することが見込まれるため，剪定などによって樹勢をやや強めに維持することを励行する。

早生の完全甘ガキである。育成地における成熟期は10月中下旬で，松本早生富有より2週間以上，富有より1か月近く早い。育成地における果実重は280g程度であり松本早生富有並みであったが，全国28か所の国公立試験研究機関における試作試験の平均値では松本早生富有よりやや小ぶりとなった。果実の横断面は円形であり，やや腰高の丸みを帯びた形をしている。果頂部の果皮色は，松本早生富有や富有と同程度であり，比較的赤みを帯びた美しい色に着色する。糖度は18度程度と富有より2度程度高い。果肉には富有より多く褐斑が入るものの食感に影響はなく，果肉肉質の粗密は富有と同様の中と評価された。果肉硬度は富有より低く，果汁も多いため食味良好である。糖度，果肉硬度，果汁の多少を総合した食味は松本早生富有や富有より優れている。

種子形成力は高く，授粉樹を混植した場合の平均種子数は富有と同程度である。常温での日持ちは24日程度であり，松本早生富有と同程度である。障害果のうち，カキ特有の裂果である果頂裂果およびへたすき果は発生しない。また，汚損果の発生は松本早生富有や富有並みに少ない。このように，生理落果が少なく，外観に優れ裂果性もないことから，ロスの少ない安定した生産が可能である。

麗玉は2016年に品種登録されたばかりであり，現在のところは大きな産地形成には至っていない。食味と外観に優れ，比較的早生であることから，今後甘ガキ産地を中心に普及が見込まれる。

「太雅」と兄弟品種の掛け合わせ。よって、特徴もよく似ている。
完全甘柿には珍しく、「果頂裂果、へたすき果といった障害果がほとんど発生しない。」との発表。受粉樹が無い条件であれば、種無し果ができ、早期落果少なく安定生産可能とのこと。果肉硬度は低く、軟らかい。果汁も多く食味良好。「太雅」と違い汚染果の発生はなく外観が優れる。

夏秋期の気温が高い地域に適応し、「松本早生富有」「富有」の栽培地域に限られることより、九州地区にはこの品種が有望。受粉樹があると有核になり種無し果の収穫はできない。果実は良質ではあるが、果重は松本早生富有とあまり変わらず、「太雅」より軽い。

１、早期落果少なく、後期落果 無し。
２、へたすき果、果頂裂果など の障害果がほとんど生じな い。
３、完全甘柿。
４、玉ぞろい良好。
５、単為結果力が高いため、受粉樹が不要。
６、周囲に受粉樹がない環境下 では種なし果。
７、受粉樹が混植された栽培条 件での種子数は5個程度。
８、日持ち性は、早生品種とし ては長い24日程度。
９、種あり果と種なし果の果実 重、糖度、果肉硬度は同程度、 外観も差無し。
１０、寒い地域では果実に渋みが 生じることあり。

ある方から「オルトラン」にはミツバチを近づけない効果があるので、開花時期に「オルトラン」を散布すると受粉することができないので、無核になるという手法だそうだ。彼も詳細は分からないとのことだったが、理論的には成立するような気がしたので検証してみた。
まず「オルトラン水和剤」はカキで、登録農薬がとれていた。又、その使用上の注意点とし以下の記載があった。
＊ミツバチに対して影響があるので、以下のことに注意することとあった。
（１）ミツバチの巣箱及びその周辺に飛散するおそれがある場合には使用しないこと。
（２）  受粉促進を目的としてミツバチ等を放飼中の施設や果樹園等では使用をさけるこ　　　と。
（３）  関係機関（都道府県の農薬指導部局や地域の農薬団体等）に対して、周辺で養蜂が行われているかを確認し、養蜂が行われている場合には、関係機関へ農薬使用に係る情報を提供し、ミツバチの危害防止に努めること。
このことより、散布時期、回数によっては害虫防除とあわせ上手く使えば、受粉回避の可能性はあると思われた。但し、試験使用されたり、その効果のデータがあるわけではないので、自己責任の元、試験ください。