秋麗しゅうれい

特徴

農林水産省果樹試験場が1982年に‘幸水’に‘筑水’を交雑して育成した。1987年に初結実し，系統適応性検定試験に供試して特性を検討した結果，「秀玉」とほぼ同時期に収穫できる，品質が優れた青ナシ品種であることがあきらかになり，2000年に，なし農林21号として命名，登録のうえ公表され，2003年に第11119号として品種登録された。

成熟期は育成地で9月上旬であり，「秀玉」とほぼ同時期である。果実は扁円形で，有てい果がわずかに混在する。平均果重は430g前後で「秀玉」とほぼ同程度である。果皮が黄緑色で，小さい果点が中程度に分布し，果面全体に中程度のさびが発生する。果梗は短くて太く，肉梗が混在する。果肉は白色で軟らかく，緻密で多汁である。甘味は「秀玉」よりも強い。酸味は弱くて「秀玉」と同等である。渋味はなく，特有の香気をもつ。心腐れ，裂果の発生はないが，みつ症がわずかに見られる。果実の貯蔵性は約10日間であり，「秀玉」と同程度である。

樹勢は中で，短果枝および腋花芽の着生は多い。開葯前の葯の色は淡紅色で花粉は豊富である。開花期はおそい。S遺伝子型はS3S4で「あきづき」と交雑不和合性である。結実性は中程度であるが，自家結実性は低い。早期落果，後期落果ともにほとんどない。黒斑病抵抗性で，黒星病などの主要な病害に対しては通常の防除で問題はない。また，とくに問題となる虫害もない。

収量や果実重の点で「秀玉」より若干劣っているが，手ごろな大きさで形も良好である。好ましい風味をもつとともに糖度も高くて品質が優れているが，果皮が傷つきやすく触れた部分が黒変しやすいので有袋栽培が望ましい。無袋栽培では果実全面にさびが発生して外観がやや劣るが，大袋の1回掛けでさびがほとんど発生せずに美しい外観に仕上がる。

収穫前落果がなく、黒斑病にも抵抗性があり、栽培容易。「幸水」並みの果実サイズ。糖度は１５度以上で青なしの中では最も優れた食味を有する。熊本県が中心だったが、昨年からは、全国に導入されるようになる希少品種。

梨のシーズン中お世話になった福岡県朝倉市黒川にある「高木の梨」の「秀峰梨園」さん。ここで出会ったのが、この秋麗。この品種も糖度１５度。
毎年、この梨の収穫時期を待ってTV局の取材が「秀峰梨園」さんに入ります。カタログ作成中のこの時期だったはず。園主の来栖さんにも久しぶりに会いに行って、今年も秋麗を味わってきます。
糖度15度にもなるこの秋麗は青ナシ。袋掛けをすると、きれいな果皮の果実になる。無袋で栽培すると、サビ模様が果皮一面に入り、赤ナシのような果皮色になる。有袋に比べて、この無袋のサビ果が断然うまい。サビ果を特徴にして「甘いナシ」の特徴をキャッチフレーズで。　

樹勢強く、短果枝の着生や維持が容易で豊産性。収穫前落果がなく、黒斑病にも抵抗性があり、栽培は容易。糖度１５％以上で、期待大の青梨。但し、果皮にサビがでるが、それを補う甘さ。