露茜　つゆあかね　

特徴

お客様の声に、豊後を受粉樹にすると開花期の重なり期間が短いとのご指摘がありました。地域性もあるのでしょうか、アンズの方が受粉樹には良いかもしれません。特に暖地では豊後との重なり期間が短いようです。

露茜には、豊後又はアンズを受粉樹にすると発表されている。しかし、寒冷地以外では豊後の開花が早く、開花期の重複期間が短いようです。暖地ではアンズを受粉樹に推薦します。両品種とも花粉を持っており受粉樹にお薦め。

和歌山県における梅の流通について調べてみた。青梅は、他生産地と同じように市場出荷される。その割合は、和歌山県産梅の約3割。残り7割の梅は、完熟後収穫され、塩漬け、天日干しされる。農家でこの一次加工されたものが、白干し梅と呼ばれ10キロ樽に積められて、JAや加工業者に販売される。

この白干し梅の流通に衝撃が走ったのが、2011年の闇カルテル問題。それまでは、「見通し価格」と呼ばれるものが存在した。加工組合が毎年、その年の「見通し価格」を設定し、組合加盟加工会社全てがその「見通し価格」という固定価格で白干し梅を購入する。2003年には1万3000円だった「見通し価格」は、たった7年で半分以下の6000円まで下げられた。2012年には闇カルテルは崩壊し、加工会社との相対取引となり、梅干しの原料価格は乱高下する。一般に再生産価格は6000円と言われる梅栽培に対し、それを下回る年もでてきた。そのことは、機械化、基盤整備への投資を拒み、昨今の収量減少へと、負の連鎖が起きている。ある大学教授は、「主産地の農家は梅バブルが終わったとの理解が必要だ」とまで言われている。
それに対し、酒造メーカーと契約栽培ができれば、梅酒用材料として安定した収入が得られる。梅酒といえば黄金色が常識だったが、「露茜」の登場で赤色、ピンク色の梅酒ができる。酒造メーカーも注目の品種で、増産が期待されている。このように、古いしきたり、古い取引先も大事だが、新しい取引先、新しい販売方法を考える時期がきたのか。

福岡県朝倉市の母樹園で収穫した果実の着色具合を毎年調べるが、自然着色はこの程度である。ウイロイドを病原とする果実の斑入症状も見られないので、気象条件上、この地域での真っ赤な果肉での収穫は無理なようである。和歌山県でも同症状がみられ、エチレン処理による着色試験が行われている。
この品種の発表時、アンズを受粉樹に推奨されていたが、新品種「和郷」の解説文中で、露茜樹は、成熟に伴い開花期が早まるとので、成木樹には「和郷」等を受粉樹にすると良いとの記載がある

「露茜」は果肉が鮮紅色に着色し、梅酒にした場合きれいな紅色となります。但し、果実が多くなりすぎると色が薄くなる傾向があるため、摘果して実を大きくするなど手入れも必要。梅酒や梅ジュースの製品は美しい紅色。果重７０ｇと大きく、果皮、果肉ともに紅く単価低迷の梅品種に新戦力。

受粉樹は「アンズ」、成木になるまでに「麗和」を用いるとよい。