瑞月ずいげつ

特徴

ニホンナシ「瑞月」は愛知県農業総合試験場と農研機構が共同で育成した新品種であり、、2019年6月13日に品種登録出願し、2019年10月１日に出願公表された。
愛知県のナシ生産は、三河地域を中心に県内各地で栽培され、結果樹面積344ha、収穫量4,920t、出荷量4,490tで、収穫量では全国第13位に位置する。
県内産地の品種構成は、「幸水」が約50％と最も多く、次いで「豊水」が22％、「新高」が10％、以下「あきづき」「愛甘水」等が続く。多くの産地では、栽培管理作業や収穫・出荷が集中するのを避けるため、8月下旬から収穫できる「豊水」を導入してきた。しかし、県内地上では、冷涼な地域の他県産「幸水」との競合等いより、本県産「豊水」の販売単価が低迷しているのが現状である。
こうした状況を踏まえ、農業総合試験場では、「幸水」と管理作業や出荷時期を分けることが可能で、「豊水」や「幸水」より食味の良好な品種に取り組んだ。2005年に農研機構が育成した早生で良食味な青ナシ系統（なつしずく）に、晩生で良食味な愛知県育成品種「歓月」を交配し、得られた実生個体群の中から選抜を開始した。高糖度で食味が良く、花芽の着生が良好で栽培しやすい系統を2014年に選抜し、翌2015年からは、生産者による樹体・栽培特性の評価及び市場・消費者・生産者による食味評価が行われ、高い評価が得られたため品種登録出願を行うに至った。
（１）樹の特性
樹勢はやや強く、枝の長さは長い。短果枝における花芽の着生は中程度で、えき花芽の着生は多い。開花中央日は、「豊水」と同時期で「幸水」より早い。収穫時期は8月中旬で「幸水」よりやや遅く、「豊水」より早い（表 ）。また、苗木の新梢伸長がおう盛で、早期の樹冠拡大が可能である。
（２）果実の特性
果実の形は円形で、果実の大きさは「幸水」並からやや大きい。果皮の色は黄赤褐色で「幸水」に類似するが、果肉の色は白黄色である。果汁の糖度は「幸水」「豊水」に比べ高く、糖類の中では甘みを感じやすいとされるショ糖と果糖の割合が高い。また、pHは「幸水」と同時期で酸味は少ない。
（３）栽培上の留意点
黒星病等への罹病程度や花芽の着生等から判断して、概ね「豊水」に準じた栽培が可能と思われる。また、本品種のＳ遺伝子型は、S4S9と推測され「豊水」「幸水」等既存の主要品種と交配親和性を示す。
果実の芯腐れ症状の発生は少ないが、過熟気味の果実を常温条件下（25℃）で貯蔵すると果肉の周緑部より水浸症状を示すため、適期収穫を心掛ける。以上のことからも常温条件下での日持ち性は、「幸水」にやや劣るが、冷蔵条件（8℃）ならば、上記の症状は見られる、「幸水」にやや劣るが、冷蔵条件（8℃）ならば、上記の症状は見られず、「幸水」よりも優れる。

2024年より全国へ発売開始。