甘太かんた

特徴

農研機構果樹研究所において1998年に‘王秋’に‘あきづき’を交雑して得られた実生から選抜された。2007年から2012年まで系統適応性検定試験において特性を評価した結果，「新高」に近い時期に収穫できる，品質と栽培性が優れるナシであることがあきらかとなり，2013年に品種登録出願され，2015年に第23913号として登録された。

成熟期は9月下旬～10月上旬で、「新高」に近い時期である。果実は円～円楕円形で全面にさびが多く発生する。果実重は570g程度で「新高」より小さい。果肉は軟らかく，糖度は14％以上と高く，果汁pHは4.6程度で低いが，食味濃厚である。生理障害はほとんど発生しない。

樹勢は強く樹冠拡大が容易であり，枝梢の発生は中程度で，腋花芽と短果枝着生はともに多く，豊産性である。開花期は「幸水」と同時期である。S遺伝子型はS3S4で「あきづき」と交雑不和合性である。黒斑病抵抗性で，黒星病などの主要な病害に対しては通常の防除で問題はない。また，とくに問題となる虫害もない。えそ斑点病に対しては病徴非発現性である。

収穫期前後の果皮色の変化が少ないために収穫期の判定がむずかしい場合がある。収穫前落果が見られる場合があるが，落果防止剤の効果が認められている。コルク状障害が発生した事例が数件報告されているが，いずれも症状は軽微で頻度も低かった。

とにかく甘い晩生品種、栽培適地も広い。南東北以南の大部分でこれから有望品種とされるであろう。山口県で糖度15.3度、高知県で15.1度、小笠原で14.2度。また、収穫時期は、「新高」とほぼ同じ晩生だが、食感は非常に柔らかい。
耐病性は、黒斑病に抵抗性、黒星病に罹病するも、慣行防除で対応可能。芯腐れ、みつ症の発生はない。
果面のサビがマダラ模様に発生することが、問題とされている。よって、有袋栽培を勧める声もあるが、「秋麗」同様無袋栽培する方が糖度がのるのではないかと思われる。適応試験の結果通り、糖度１５度を越えてくるなら外観は問題にならないであろう。
「南水」「秋麗」に続く糖度１５度超えの梨品種として期待が大きい。

適応性試験結果データより、耐病性は、黒斑病に抵抗性、黒星病に罹病するも、慣行防除で対応可能。芯腐れ、みつ症の発生はない。「秋麗」同様に、果面のサビがマダラ模様に発生することがなく、果実全面にさびが発生して赤ナシの様な外観になるので、無袋栽培では商品性の問題はない。逆に、有袋栽培では果面がマダラ模様となり、外観が劣る。ヤガ防除の問題等で、有袋栽培しなくてはならない場合も、「秋麗」同様、糖度15を越えてくるなら外観は問題にならないであろう。逆に、消費者にとっては一目で、あの甘い「甘太」だと分かるので、宣伝次第ではこの特徴を生かせるのでは。収穫期は「新高」とほぼ同時期で、果実は「新高」ほど大きくないので現在の家庭ニーズとマッチする。硬度も「新高」7.1lbsに対して、4.3lbsと食感も良い。収量は「新高」並み。「南水」「秋麗」に続く糖度15超えの梨品種として期待 が大きい。

とにかく甘くて大きい、だから「甘太」。収量が多く、日もち性も豊水と同程度ある。黒斑病に抵抗性で、黒星には罹病性だが、慣行防除で可能。これから、南東北以南の有望晩生品種。