口之津４１号　くちのつ４１ごう

特徴

日向夏は露地栽培において4月以降に成熟する数少ない品質優良な晩生カンキツであり、宮崎県、高知県、愛媛県、福岡県及び静岡県等で生産され、さわやかな風味と良食味で消費者に人気が高い。しかし、日向夏は強度の不和合性を示し、かつ単為結果性を持たないため、結実を安定させるには受粉処理が必要となる。これまで、日向夏の受粉にはブンタン類やハッサク、ナツミカン等が用いられてきたが、これらの花粉による受粉処理では、20粒以上の種子が入る果実が多く生産される。そのため無核または少核果生産が日向夏栽培の大きな課題の一つとなっている。日向夏の少核果実生産技術として、満開7～10日後に300～500ppmのジベレリンを散布する方法があるものの、この方法はハッサク等の花粉の人口受粉に比べて果実が小さくなり、かつ生産コストが高いため、現在ではほとんど利用されていない。また、「西内小夏」や「宿毛小夏」など、枝変わりにより生じた日向夏の少核系統も存在し、高知県や静岡県で導入が進められている。しかしこれら系統は日向夏の在来系統に比べ果実が小さく、大玉果生産を目標としている宮崎県では導入されていない。カンキツでは二倍体品種に四倍体品種の花粉を受粉すると、５～８ｍｍ長の不完全種子（シイナ）は形成されるが、完全種子数が０～２粒と著しく減少することが知られている。この現象を利用した日向夏の少核果生産技術として、日向夏と開花期が同じで仮、受粉樹として日向夏の少核果生産のための受粉樹として利用可能な四倍体日向夏「口之津４１号」が育成された。普通日向夏の受粉樹として普及した場合、結実した果実も販売されることが想定された。自然受粉の条件下で結実性は日向夏の劣り収穫性は低い。しかし、着果量は多く、受粉樹としての利用に適している。果実特性でも果実量は平均２３４ｇで日向夏より大きい果皮は黄色で、果皮の厚さは日向夏よりも厚い。果面はややなめらかである。果汁の糖度は平均１０.７度、成熟期は遅く４月上旬と考えられ、日向夏と同時期である。放任受粉果実のおける含核数は平均１０粒程度。果実品質的にも、普通日向夏との出荷も可能な果実品質を持つ。