宿毛小夏　すくもこなつ

特徴

小夏の（日向夏）始まりは、江戸時代・文政のころ（１８２０年頃）に、宮崎県宮崎市の真方安太郎氏宅で偶然自生しているのが発見されたこと。その後、明治２０年に明治政府の中央官庁で阿多あ｛農商務省｝（現在の農林水産省）の技師、野村利親氏は、元々高知は故郷だったためその後地元に帰ってからこの樹を移植し高知県でも広まった。高知では小さい実（少種子）がもてはやされたことから、「小夏」とゆう名が広まり、定着したようだ。

　高知県宿毛市の久保悟氏の園に、２本のカラタチ台日向夏が植えられていた。この２本は昭和３５年に育成者の父が夏ミカンの受粉樹として購入、定植した。このうち１樹が普通系日向夏に比べて減酸が早く１か月以上早く食べられた。そこでこの樹から穂木をとり、白園の土佐文旦に高接ぎして観察を続けたところ、原木と同様の特性を示した。さらに、土佐文旦や夏ミカンにも高接ぎをするともに、カラタチ台の苗木を育成し、宿毛農漁改良普及所及び高知果樹試験場に特性調査を依頼した。その結果早熟系の１樹変異であることが確認されたので、種苗法に基づき登録申請を行い、１９９２年に「宿毛小夏」として登録された。

　日向夏の変異種で、３月中旬から収穫できる柑橘。レモン色の果皮と扁円形で小粒な果実が特徴で、普通日向と比べ酸味少なく、上品な甘みと独特な香りが楽しめる。小粒な実に濃縮された甘みをたたえ、”小夏の女王”とも呼ばれ、希少価値の高いフルーツとされる。

高知県で栽培されている主な小夏品種（日向夏）は、「西内小夏」「宿毛小夏」「室戸小夏」「松岡小夏」などが知られる。しかし、販売の際には個々の品種名で販売されることは少なく、高知県の小夏は土佐小夏という名称で販売されることが一般的。なお、「宿毛小夏」は、宿毛市で生産された小夏の総称ではなく、特定の品種の名前。

土佐小夏は小玉ほど種が少ないため、小玉のものが人気。そのため、大玉は味に変わりはないが、家格は少しお手頃。