ニュー日南　にゅーにちなん

特徴

1995年に宮崎県日南市大字毛吉田の古澤勝氏の園で，興津早生に日南1号を高接ぎした腹接ぎ3芽のうち1芽から発生した強勢で着色の早い枝を発見，当初は日南1号N系，ニュー日南，N1号などの名で広まった品種である。のちに古澤氏によって日南の姫（ひなのひめ）と改名された。

「日南1号」は極早生系統のなかでは樹勢の強いほうであるが，この「日南1号」との比較では，若木までの樹勢は同等かやや弱い事例が多い。しかし，結実し始めても衰弱することはない。葉の大きさはやや小さめで葉柄長も短いが，宮本早生よりは葉は大きい。結実性は良好で有葉花が多く着生し，新梢の発生との割合が適度なため，隔年結果は少ない。このように樹性は「日南1号」と大きな差異はない。

果実の肥大は良く，M玉中心に揃いやすい。「日南1号」との比較では，着色は7～10日早く，9月上旬には着色を始め，9月下旬には完全着色する。果汁成分は9月に入ると糖度で8台に達し大差はないが，クエン酸は1.3％前後で減酸は早い。シートマルチ栽培を行なうと果皮色は退色時に紅色がでる傾向があり，果肉色も紅色が濃い。9月中～下旬になると浮皮が発現し始める。

着色，減酸が早いが，増糖は緩やかであり浮皮になりやすいので、シートマルチに点滴灌水装置を併設した栽培法で品種の特性を最大限に生かす。従来の露地栽培では増糖の鈍い欠点が品質評価を落とすことになるため奨められないし，黒ボク土壌での植栽も避けるべき。したがって，硬質土壌でのシートマルチ栽培が日南の姫導入の前提条件。

収穫は「日南1号」のマルチミカンの出荷始めより7～10日前、いわば極早生前座の品種で，極早生系の売り急ぎに歯止めをかける役割を果たす。

1995年宮崎県日南市の日南１号の枝変わり品種として登録された。暖地では露地栽培でも９月10日位から収穫可能な糖度になり、9月20日には完全着色する。９月上旬に糖度10度以上を狙うなら、マルチを敷く、２分着色、糖度10以上、酸度1.0～1.2で出荷できる極早生中の極早生。「日南の姫（ひなのひめ）」で商標権がとられているので注意。