ゆら（由良）早生　ゆらわせ

特徴

　浮皮しない品種として、更に人気。

　『小粒ミカンの商品価値が高まり、近年「小ぶりな方が甘い」とのイメージが定着。大手スーパーでの販売も好調だ。』

　これで、更に「ゆら早生」の人気が上昇することは間違いない。ミカンは、贈答品としての取り扱いもあることから、M玉を中心と した大きさがベストで美味しい印象を与えると考えられてきた。しかし、現在の若年層にとっては、贈答品ではなく、家庭消費財であり、見た目ではなく、食味に特化して、ミカンが選ばれるようになってきた。

　1985年に和歌山県日高郡由良町の山口寛二氏が，自園の25年生宮川早生から果実の着色，減酸の早い枝変わりを発見した。翌年より高接ぎ樹，苗木を育成し，樹体と果実の特性調査を行ない，着色・減酸が早く品質が優れることが確認された。由良町農協（当時）が種苗法に基づく品種登録申請を行ない，1995年9月に登録された。18年間の登録期間が消滅し、和歌山県以外でも栽培が可能になった品種である。じょうのう膜が薄く、10月に出荷されるみかんの中で群を抜いて甘さやコクがある。

樹姿は開張性。苗木の時期から、樹勢弱く，着花・結実し始めると，葉が小さく，短い枝梢が多くなり，樹冠の拡大が緩慢。

和歌山県での成熟期は10月上旬であるが，果実品質を重視すると収穫適期は10月中旬頃である。そのころにはクエン酸が1％程度で，糖度は9～12度となる。また，じょうのう膜は極早生としては薄く，軟らかい。秋期に高温多雨が続き，収穫が遅れると浮皮が発生するため，10月下旬までに収穫する。

栽培は他の極早生温州と同様，気候が温暖で，日照良好な開花時期が早い地域が適している。土壌条件は，品質を高めるためには，排水性の良好な園が適するが，樹勢を維持し，過乾燥による小果，酸高果を防止するために，肥沃で適切な水管理できることが重要である。

苗木の定植後1～2年は，灌水を励行し，果実を全摘果して夏秋梢を発生させ，樹の生育を促進し，樹冠の拡大をはかる。

結実期に入ると着花過多，新梢や葉の短小化などが原因で樹勢が低下し，樹冠の拡大が緩慢になるので，生育促進，樹冠の拡大に留意し，樹冠上部や主枝の先端など，強い新梢を必要とする部分を中心に，結実量を抑制する。

欠点として樹勢が弱く果実は小玉傾向になるので、幼木期は結実させることなく樹冠の拡大を第一に考える。また、降雨が少ない年は、特に小玉化が進むので、潅水をこまめにする必要がある。毎年高単価を維持する極早生品種。収穫は青い時期に行う。果皮は青いまま出荷しても中味は完熟。

果実が小果であることを除けば、欠点は無い。果実同様に樹勢が弱いので幼木期は、樹勢をつける整枝、剪定が必要。初結実は、十分な樹体から。